ぞくぞく届く、法人税務の取扱説明書

税務署さまから、ずしっと重い、分厚い説明書がつぎつぎとご到着です。

社員の源泉税のまとめ支払いと、年末調整が両方12月末締めなので、その解説書です。毎年計算方法が少し変わったりするようですので、うちの会社が新米だから気を遣って送ってきてくれている、というわけではないのかも。

源泉税も年末調整も初心者なので、しっかり読まないといけないですね。

意外にも、税務署さんからは、わたしが個人で活動していた頃よりも頻繁に電話がかかってきたり、書類が届いたりします。

会社となると、社員の源泉税を天引きして納める立場にあるので、シビアなのでしょうか。個人の納税者の上にあるのが、法人の納税者ということになるかと。

前に税務署のお兄さんからから聞いたところによれば、個人相手の部門は、確定申告のある3月からが忙しく、夏までにかけて書類の処理で手一杯なのだとか。したがって、税務調査や、納税者へのコンタクトは秋からが多いとのことです。

法人の方はというと、各社とも事業年度が違うので、年間を通してお忙しいのかもしれません。年中連絡が来ます。阿部書店株式会社は、6月設立なので、6月〜5月が事業年度ということになります。

個人営業のみなさん、いま、秋ですね、ふっふっふ。

毎年の収入が乱高下したり、経費の使い方に同業の他の事業とくらべて飛び出ている部分があったりすると、税務署さんの眼にとまるそうです。たしか税務調査が来る率は、個人事業者の4%くらいだと所員さんが言っておられました。

AppleのカスタムオーダーMacを少しでも安く買う方法

最近のMacは、メモリーやディスクを勝手に取り替えられないデザインのものが増えてきました。でも、標準仕様以外の、ハードディスクやメモリーを増設したMac(CTOモデル)が欲しいとなると、Appleからの産直販売を利用するしかありません。

当然のことながら、高くつきます。定価ですので。

少しでも割引がつくのは、小売り店の店頭で販売されている定番モデルのみです。

Appleのパソコンは、昔から小売り店での割引率が低く、公正取引委員会が調べているとかいないとかいうニュースがあったこともあります。ヨドバシカメラやBicカメラでも、現金購入でポイントは5%だけしかつかず、他の商品の10%還元に比べるとお得感に欠けると言わざるをえません。

ところが、業務用となると、他の選択肢あり。

Mac専門店の老舗「秋葉館」が、業務用途のユーザー向けに、カスタム仕様のMacの販売を始めています。

試しに、MacMiniの特別仕様版の見積りをお願いしたところ、およそ「5%」の割引価格となっていました。少しでも安く購入したいプロには助かります。

購入条件は、現金での先払いが可能であることと、法人または個人事業主であるということ、そして納期が最大で2週間かかります。事業目的でないと購入できないのは、おそらく、Appleとの契約のせいでしょう。正規の販売業者を少数に絞っているようですので。

個人事業主である証明を求められる雰囲気ではないので、個人の方も、阿部インターナショナルなりなんなり、それっぽい屋号をテキトーにきめておけば注文可能なのではないかという雰囲気です。

秋葉館は、昔は新品の標準モデルも割安で店頭販売していたのですが、いまは業務用の見積もり販売のみになりました。値引きをするのがAppleのお怒りを買ったものと想像。ここは中古の買い取りもやっていて、私は新しいモデルを買う度に、ここで古いMacを売り飛ばしています。Mac専門店だからか、中古に強いSofmapよりも買い取り価格が高く、Macは大きく値崩れしないので、比較的新しいものならば、そこそこの値段がつきます。

アマゾンジャパンの「Kindleストア」で、この国の本は激的に安くなる

いまにも出るぞ!出るぞ!と言われ続け、いつまでたっても始まらなかった、Amazonジャパンの電子書籍販売サービス「Kindleストア」が、本日 2012年10月25日、ついにスタートしました。

さっそく、覗きに行ってみたら、電子版書籍の値段を見てビックリ。

うぉっ、どれも紙版より安いじゃないの!!

日本のKindleストアの価格設定を見ると、例えば、紙版が定価714円の漫画「テルマエロマエ 第1巻」がKindle版だと215円(70オフ!)。最近ベストセラーになっているビジネス書「ワークシフト」は、定価2,100円が1,500円と30%オフになっています。

アメリカの書店だとベストセラーコーナーに並ぶ本は、だいたい数割引で売っています。日本で新刊本が値引きされるというのは、わたしにはやっと同じようになったかという気分です。

日本の新刊書籍や雑誌は、独禁法で「値引きが禁止」されてきました。この国では、大手出版社がアクセルとブレーキを同時に踏み続けたせいで、電子書籍がぜんぜん普及していないですから、事実上、日本のすべて新刊本は、定価で売られるもの、というのが相場です。

昨日までは。

消費者として激しく頭にくるそういう状況も、おしまいとなる可能性がでかいと思われます。

法律により製造者が決めた「定価」で売らなければならない商品という、消費者としては意味不明ものが、今も存在します。日本の公正取引委員会が名指ししている商品たちで、新品の書籍、雑誌、新聞、音楽ソフトなどの著作物商品がこれにあたる。なぜかDVDなどは入っていません。1997年までは化粧品や医薬品も含まれていました。本は、最後までしぶとく残っている指定商品の一つということになります。

そうすると、電子書籍も「定価で売らなければならない」という制限にひっかかりそうなものですが、調べてみると、制限のあるのは「物」の商品に限るのだそうです。

つまり、電子書籍は、アマゾンのような小売り業者が、好きなように値段を付けられるというわけ。今後、なしくずし的に、紙の本は定価でないと売れないという制限も崩れていくかもしれません。そりゃ人間、機能がほとんど同じなら安い方を買いますからね。

そんなうちの一人であるわたしは、ここ数年、アメリカのアマゾンからKindle電子版の洋書をたくさん買ってきました。

いつでもどこへでも持ち歩ける便利さや、欲しいときに瞬時に手に入ることじゃありません。そんな程度のことでは、私の買う和書・洋書トータルのうち、3/4までもがKindle版になったりはしません。

決定的だったのは、「明らかに安い」ということ。

注目していただきたいのは、「安い」ではなく「明らかに安い」という点です。紙版とKindle版のどちらを買おうか迷う余地がないほど安いものが多い。やはり本は紙で読みたいというような理屈は、値段が同じならという前提があるわけで、値段が半額となると信念もグラグラになる。

米AmazonのKindle本は、一部の売れ筋の本だと、紙版と比べて半額で売っているものすらある。多くの本も、少なくとも数百円程度は安い。くわえて、米アマゾンから買うと、日本までの数千円の送料もかかってしまいます。

いまでは、読みたい洋書があると、なにはともあれ、まずはKindle版があるかどうかをチェックのが習慣になりました。

金の沙汰と、そしてポルノは、人の波が流れる方向を変える巨大なモチベーションになる。新しいテクノロジーが普及する大きな要素です。

最近では、東京の本屋に立ち寄って本を手に取ったときも、原著が英語の場合は、ポケットからiPhoneをひっぱりだし、アメリカのKindle版だといくらかをチェックしてから、安い方をその場で購入するようにしています。紙の本ならそのままレジへ、Kindle版ならその場でiPhoneから購入手続きするか、試し読みサンプルをダウンロードします。

この経費削減ワザは、日本語と英語がどっちもサクサク読める人にしか使えなかったテクニックでしたが、それも、今日から少しづつ変わっていくでしょう。日本の本もKindleの方が安いとなると、和書にも通用するようになる。

日本のKindleストアは、和書5万冊からスタートだそうですが、売れるとなれば多くの出版社がKindle版を投入するでしょう。ぜひとも、そうなって欲しいところです。

 

仕事場兼自宅の模様替えに思う、人間の飽きっぽさ。

完璧な家のデザインや、家具のレイアウトなどというのは、無いと思っている。

なぜかというと、どんなに苦労して究極を突き詰めたところで、時間とともに飽きてしまうから。

自分の机や食卓から見える景色は、たまに変えた方が良い。文字通り行動パターンも変わる。

職業柄、次から次へと違うプロジェクトをやるので、飽きっぽい性格だと言ってしまえば、たしかにそうかも・・・と納得できないこともないけれども、飽きっぽいのは人間の本質です。

飽きっぽくない人は、新しいやり方でやってみようという「進化」という名の実験に手を出さないし、牛のように足元の資源を食いつぶしてしまう。

方針転換なう。個人的な話も書くことにしやす。

個人的な話は、一切書かないつもりでいましたが、このへんで方針転換。

かっこいい記事だけ書こうとしていると、力が入りすぎて、書く回数が減ってしまうので、ゆるい話も書いて行くことにしました。

大学生の頃から雑誌に書いていたからだと思うのですが、どうしても文章の言い回し凝って、時間をかけてしまうクセがあることに気付きました、最近。

無意識に推敲を重ねてビカビカに磨き上げ、ながーい文章を書こうとしてしまうというクセみたいなもの抜けきれなくて、苦労します。

こういうクセがあるということは、わたしも立派な旧人類のメンバーということになるわけですかね。

ショック。

領収書は「阿部書店株式会社」でお願いします。法人登記完了

地下鉄・九段下駅を出ると、雨が降り始めていた。

まだ小雨だけれども、私は傘を差し、皇居の方向へと歩き始めた。数分歩くと、左手に東京法務局が入っている、これといった特徴の無い建物がある。

法人登記の部署は3階で、この建物には税務署やらなんやら入っているようで、工務店風のおじちゃん達が次々にエレベーターに乗ってくる。

私はカバンから、おろしたばかりの現金が入った封筒を取り出すと、印紙売り場のブースに向かい、ドキドキしながら言った。

「株式会社登記の、15万円をお願いいたします。」

おばさんは、奥の方の姿の見えない人物に向かって「数えてください」と言いながら、私から受け取った札の束を渡す。そして、10万円と5万円分の印紙を1枚ずつ私の前に置き、小ぶりな領収書にサラリサラリと素早い手つきで「150000」と書くと、大きな丸いハンコをドドスンと押しから、「はい、ありがとうございます」と言って差し出した。

15万円の価値がある切手のような紙きれなんぞ、めったにお目にかかるものではないから、さっそく写真を撮って、ツイッターとfacebookに載せた。

前に、商標登録の出願で特許庁に行ったときでも、たかだか4万円くらいの印紙だったから、私が見たことのある紙片の中では、面積あたりで一番高価な紙切れだ。

法人登記の受付カウンターを見つけ、列に並んで順番を待つ。

私の前に数人ていど。事業年度の開始は毎月1日だから、今日はあまり込んでいないのだろう。

先頭に目を向けると、業界系のおばさんと窓口のお姉さんが向かい合って、マジな表情で、2冊の書類の束を同時に機敏な動きでめくっている。数秒凝視した後に、1ページめくり、そしてまた1ページ。何をやっているのか皆目検討がつかないが、見事なシンクロぶりだ。

その姿は、鏡に映る相手の真似をする、パントマイムのごとく。

あっという間に私の番が来て、そのパントマイム担当の若いお姉さんに書類を渡した。

書類作成は代行してもらったので、特に不備があるとも思えないから、これでめでたく登記完了だ。

・・・ところが、お役所らしからぬカジュアルな口調のお姉さんは、書類の束の1ページ目を一瞥するやいなや、「本店の住所は新宿区ですかぁ?」と言った。

「すみません、新宿区の登記は、新宿出張所の方に行って頂かないといけないんですよぉ。もしも今日中に登記なさりたいようでしたら『走って』大久保に行ってください」

「は、走ってですか?(笑)えーと、何時までやってますか?夕方までは大丈夫ですかね」

「そうですね、5時15分までやってますのでぇ」

東京法務局の管轄エリアは、東京23区全部だと書いてあったので、九段下にある親玉の建物に行けば良いと思い込んでいたが、来る場所を見事に間違えた。

そして向かった先は、コリアンタウンとして世に名をとどろかせる大久保駅。駅を降りてからの道すがら、韓国語やら中国語やらが耳に入ってくるので、そのへんにいる人が、みんな外人さんにも見える。

東京法務局・新宿出張所は、さっきの都会派最高峰に比べると、ぜんぜんときめかない門構えだ。隣の不動産屋の看板と、デザインと色使いでは区別がつかない。

少々がっかりしながらも、人影まばらな法人登記の窓口へ向かうと、そこにいたのはヨン様だった。

さきほどの女性とは対照的に、クソマジメで色白メガネの大人しい、愛想ゼロの青年。いかにも公務員なわけで、むしろこっちの方がしっくり来ると言えば、そうとも言える。

「株式会社の登記をお願いします」

今日2回目のそのセリフを言って書類の束を差し出すと、ヨン様は、まず綴じていた大きなクリップを外し、無言で書類をパラリパラリとめくって確認している。一言「18日です」と言って私にA4のコピーを1枚渡し、彼は書類の束を小さなワイヤークリップでまとめると、すぐわきのパソコンに座ってキーボードを打ち始めた。

その紙には「本日(6/12)の登記申請は、6月18日(月)を予定しております」とある。その日以降なら、登記が完了した証明書を発行することができるということのようだ。その証明書をもらって初めて銀行に口座をつくったりできるようになる。内容の審査のようなものがあるので、その場ですぐには完了しない。

特に受領控えのようなものをくれるわけでもなくて、いつも不安になる。

先日、父の会社の手続きで府中法務局に行ったときも、書類を渡すと「ご苦労さまです」とだけ言われて終わりだった。法務局というのはそういうものなのだろうか。

こういうものに慣れていていない私は、念のため1分ほどロビーをウロウロして、ヨン様が私を探していないことだけ確認すると、傘を取り出して、雨の大久保の街へと出て行った。

設立日は、書類を提出した本日付。今日からは、領収書は「阿部書店株式会社でお願いします」ということになるのだ。

私は、若い頃に立ち寄ったことのある、大久保駅と新大久保駅のちょうど間にある、安い回転寿司の自動ドアをくぐると、独りプチ祝いランチの会をはじめた。

ウェブデザイナーのために産まれた『PhoneGap』 ド素人でもできるiOS & Androidアプリづくり

ウェブサイトを作れる人なら、ちょっと勉強すれば、iPhoneやiPadはもちろん、Androidのアプリも作れる。

そんなステキなもののお勉強、はじめました。

ウェブデザイナーとアプリ開発の橋渡し役

「PhoneGap」(フォンギャップ)は、その名のとおり、スマートフォン向けのアプリをつくるときに特有のギャップ=「溝」を埋める目的で作られたフレームワークです。

平たく言うと、ソフトを作るためのソフト。

ただいま準備中の阿部書店では、いきなり紙の本を大量に売り出す予算とネットワークは無いので、最初は小さめの電子ブックをドンスカ発売するつもりです。無料・有料を織り交ぜて。

そこで電子ブック程度の紙芝居的なアプリ制作には必要十分な、これを勉強してみることにしました。

PhoneGapは、ウェブデザインならできるあなたを、次のようにサポートしてくれます。

埋まるギャップ その1:ウェブデザイナーならアプリをつくれる

PhoneGapが埋めてくれる溝は2つあって、1つ目は「プログラミング能力」のギャップです。

ブラウザーだけで見るウェブサイトと違い、スマートフォンやMac・WindowsといったOS上で動く「ネイティブ」ソフトの開発には、それなりのプログラミング経験とお勉強が必要です。

実際にやってみるとわかりますが、ド素人やウェブデザイナーには、この壁は極めてぶ厚く、そして堅い。私はウェブ上で動くプログラミングなら少しは自信がありましたが、途中で挫折し、インドの開発会社に「Life Aid Kit」というアプリの制作を20万円で外注したりもしました。

PhoneGapのはじまりは、ずばり「ウェブデザイナー達でもアプリを簡単に作れる」ようにするという目標だったといいますから、まさに世のウェブ屋さんにぴったり。

HTML5、CSS3、JavaScript。この3つを使いこなせるプロならば、PhoneGapさまのお助けにより、正当派アプリ開発に比べ、極めて短い勉強時間でアプリを作れます。

PhoneGapが提供するスマートフォン機能(カメラ、加速度センサー、アドレス帳、ファイル保存、メディアなど)を使うためのコマンドを覚えればOK。

レベルの高い方なら、ブラウザーで動くテクノロジーを組み込むこともできるので、jQueryやjQTouchのような、JavaScriptフレームワークを使うこともできます。

ギャップ その2:iPhoneとAndroid版をいっぺんに。全7種のクロスプラットフォーム対応

二つ目のギャップは、異なるスマートフォンOS向けに同時に開発するという、絶壁。

iPhoneとAndroidではプログラムの書き方が全く違うので、自分で作ろうということになると、かなりの時間をかけて両方の勉強をしなくてはならなくなります。

プログラミング専門家でもない仕事人に、そんな時間があるはずはざぁない!

ソフト開発の世界は刻一刻と変化しているので、集中して勉強したらおしまい、というわけにもいきません。一度手を染めたら、終わり無き旅路となることをお覚悟くださいませ。

PhoneGapを使えば、基本的には1つアプリを作り、変更を少々ほどこす程度で、iPhone/iPad、Android、Windows Phone 7、BlackBerryといった主要なスマートフォンすべてのアプリに書き出すことができます。

スマートフォンに内蔵されているウェブブラウザーで表示できるサイトを、ひとつのアプリにして、さらにカメラや加速度センサー・ファイル保存・簡単なデータベースといった機能を使えるにようにしたものなので、違うOSでも同じ結果を得やすいというわけです。

当然のことながら、通常のウェブサイトと同じテクノロジーで作っているので、パソコンや、スマートフォンのブラウザー向けにも公開できます。

さらに、驚くべきことに、AppleやGoogleが提供するSDK(アプリ開発のための専用ソフト)を使わなくても、ネイティブアプリへの変換をすることが可能です。スマートフォン対応させたHTMLデータ/Webアプリを「PhoneGap Build」というクラウドサービスにぶちこむと、7種類のプラットフォーム向けに書き出しが可能です。

どの程度のアプリまでPhoneGapでいけるか?

すんません、まだ勉強中なので未知です。

とはいえ、JavaScriptでつくれて、スマートフォンの基本機能やデータベースを利用する程度なら、まず全部実現可能でしょう。

複雑な機能の部分だけは、難しい書き方のプログラムを書き足して補うということもできるのだろうと想像。派手なグラフィックや、OSの細かい機能へのアクセスが必要なアプリは、現時点では難しいと考えておいた方がよいでしょう。

私の用途では、電子書籍+αまでは自前でPhoneGapを使って作り、それ以上は、去年のようにインドに発注(または少し高いけれどもレベルが高い「東欧」)する手法で行く予定です。

期待できる将来性。Adobeが買収、ソースコードはアパッチ財団へ寄付

スマートフォン向けの開発環境は、流行り物なのでいろいろありますが。わたしが時間をかけてPhoneGapを勉強しても良いかなと思った理由のひとつは、2011年に開発元のNitbi社をAdobeが買収し、ソースコードをアパッチソフトウェア財団に寄付したこと。将来性とユーザー数の多さです。

Adobeは少し前まで、Flashで作ったソフトをアプリに変換する機能を推進していましたが、どうも、スマートフォン向けのFlashの雲行きが怪しくなってきたので、HTML5によるスマートフォンアプリ製作を推し進めようという空気がプンプン漂っています。

Adobe Dreamweaver CS5.5以降に、PhoneGapを使ってアプリ開発をする機能が内蔵されていて、CS6ではさらに便利になったそうです。ソフト内から動作チェックもでき、「PhoneGap Build」とも連携しているそうなので、あたかもSDKのようなスタイルで製作ができそう。本当に使えるのかどうかは、近く試してみるつもりです。

どこでお勉強するか? 現在のハードルは「英語」

PhoneGapは猛スピードで進化していて、アメリカの解説書でさえ出版が追いついていません。よって、ウェブデザインの能力以外に「英語を読めること」は必須条件です。解説本や、本家サイトを利用して。

日本で売られてる本の中には、HTML/JavaScript/CSSを使った独自手法のでアプリ開発の本はいろいろ出ていますが、PhoneGapを扱ったものはまともな本が皆無です。日本の専門書は、アメリカから1~2年に出る傾向にあるので、しばらく待てば、ちょろちょろ出てくるでしょう。

PhoneGapは、最新版Dreamweaverの売りの機能のひとつなので、近く、解説書の一部として登場する可能性もあります。

わたしの場合、技術系の本の多くはAmazonのKindle版を買っています。PhoneGapの勉強に使っているのは「Beginning PhoneGap」(Wrox刊)米国のAmazonでは選択肢も多いですが、前述のように内容が古いものも多く、できるだけ新しいものを買いましょう。

PhoneGapの公式サイトのマニュアルも覗いてみてください。

デザイナーのユニフォーム「黒いTシャツ」に秘められた、奇妙な職業の本質

デザイナー男子は、黒いTシャツを好んで着る。

私もその一人ですし、有名どころでは原研哉さんや、ナガオカケンメイさんもそう。

きっと理由があるに違いないから、なぜなのかなぁと、考えてみた。

すると、デザイナーという世にも変わったプロ軍団の、職業像が見えちゃいました。

 

人様を魅力的にするのが仕事だから、自分の見栄えになんぞ興味はない

デザイン屋さんは、広告や製品やビジネスを魅力的に、そして美しくする専門家です。

裏を返すと、実は、「自分自身」の演出については無頓着な人が多い。自分の姿には、あまり興味は無いから、服装を考えるのはめんどくさい。時間がもったいない。勝負は、作り出したものの方でしているという自負があるわけです。

少なくともわたしはそう。「お助けのプロ」であるデザイナーは、主役ではないから、センスを疑われない程度に、ほどほどにかっこよきゃ十分と思っています。

すごいものを作る仕事だから、プライベートや生活も華々しいに違いないと思われがちですが、ぜんぜんそんなことはありません。一言で言うと、一流の人でも想像以上に「地味」。みなさん、忙しくて格好いい生活なんかしてる余裕はない。そんなことできるのは、成金のヒマ人。

スティーブ・ジョブズも、いつも服装は同じでした。どこに登場するにも、黒いタートルネックと、ブルージンズ。

彼は、物作りに異常な執念を燃やすプロでした。そんな奇人が自分の服装なんか気にするわけがない。彼なりに見つけた、見栄えと手間いらずの妥協点が、あの組み合わせだったのだろうと思います。

彼の伝記本を書いたアイザックソン氏が自宅を訪ねると、クローゼットいっぱいに、同じデザインの黒いタートルネックが山積みになっていたという話です。ある時、東京を訪れたとき三宅一生さんと意気投合して、大量に作ってもらったらしい。

デザイン屋は、自分を演出することに関しては、逆にド下手だったりもします。いつもの調子で、一歩引いたところから、客観的に分析することができなくなるからです。

アメリカ最高峰のデザイン会社「IDEO」は、社内に多数のスゴ腕デザイナーを抱えていながら、自社ロゴのデザインを、あえて大金を払ってポール・ランド氏に依頼したと言います。その理由は何かというと、自分たちの特長やイメージは、客観的な眼を持っている人でなければ演出できないからだとか。

(ランド氏は、IBMやNeXTのロゴをデザインしたことで知られる大御所で、ジョブズの伝記にも登場)

 誰の色にも染まらない、ニュートラルな色

一流のデザイン屋さんともなりますと、引く手あまただから、あらゆる業種や会社の仕事を頼まれます。

お堅いビジネスから、ふにゃふにゃのやわらか系まで、いろんな依頼が舞い込んでくる。すると、特定の分野やスタイルに染まり過ぎると、他のビジネスからの仕事が来なくなってしまいます。

例えば、派手なアロハシャツを好んで着る個性派のデザイナーさんがいたとすると、そういう人には、地味なスーツ会社の仕事というのは来ない。

だから、歌舞伎の役者を助ける「黒子」のような存在であった方がベターなんです。あくまでも、主役を引き立てる脇役。お客さん自身や商品よりもぜったいに目立ってはいけないという、暗黙の了解のようなものがある。

デザイナーと言えば、歩く個性、だと思っている方は多いでしょうね。

でも仕事でお会いしたことのある原研哉さんや佐藤可士和さん、それから私の親方だった石岡瑛子さんなど、作るモノはぶっ飛んでいて超クリエイティブですが、ご本人達はとても堅実で控えめなタイプ。けっして派手な格好はしていません。派手で華々しいのは作っているものや、著書のほうだけ。

「黒」という色は、色彩の世界では「光が無い」状態を指します。

色にも、そして形にも主義主張が無い、黒いTシャツというベーシックな着物は、「わたしは、いつでもアナタ色に染まれますよ」という、クライアントさんへのラブレター・・・、だったりして。