夜のシンガポール発、マレーシア・ペナン島に上陸。家探し編序章

数日滞在していたシンガポールのチャンギ空港から、夜19:40発のJetStar便に乗り、ペナン島へ飛んだ。

およそ1時間半の短い空の旅。シンガポールは、マレーシアの先端にくっついている小国なので、国内線のような感覚だ。時差も無い。

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東南アジアは、LCC(格安エアライン)の巨人たちが肩を並べる地球の一角なので、いろいろな安いチケットの選択肢があるものの、AirAsiaのシンガポール発ペナン行きよりも多少安かったので、JetStarで飛ぶことにした。

ジェットスターはオーストラリアのカンタス航空系で、格安エアラインの割にデザインのセンスがそこそこ良く、自分好み。エアアジアの方は、内装やら制服やらの色合いとデザインが、言うなれば錦糸町のチープなキャバクラといった風情。微妙な差ではあるものの、選べるならJetStarの方がいいなあ・・・と、このフライトで想いを新たにす。

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ペナン国際空港から、空港公式の定額制タクシーでホテルに向かった。空港はペナン島の南端にあり、中心部の北側へは高速道路を走って30分ほどの移動。

窓の外を流れていく夜の景色は、どこの国でも共通の、空港からの高速道路の眺めで、地元の人が住んでいるであろう質素な風貌のマンションや、シャッターの閉まった店、暗いオフィスビル、そして大きな看板が、街灯とともに流れていく。

途中、ハードディスクで有名なWestern Digitalの工場が眼に入った。あとで聞いたところによれば、ペナン州は税制優遇で海外企業をたくさん誘致していて、日本をはじめとする世界各地の工場があるそうだ。昔ほどではないと聞くが、いまでも日本の駐在員がたくさん住んでおられるのはこれが理由。

道中、タクシーの窓から左右の光景を、嫁としげしげ観察。大きなスーパーやら、コンドが見える度に、このへんはどうかね?と話は絶えない。空港からの道すがらは、地元色が強く、外人向けのリゾート感は無い。致命的なのは、本土との橋もかかるこのあたりの島の東側は、どう見ても車での生活が前提な雰囲気であることだった。私たちは車を買う気は無いので、歩いて生活できる場所が条件なのだ。

明日から始める住む家探しでは、島の北側を中心に歩いてみるのが良さそう。東側が、事前に調べて、家賃が安かったのは、地元の人向けのエリアだったからのようだ。

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ずっと続いたロマンティックではない郊外の景色が終わり、急に、歴史感ある低層の建物ばかりが建つエリアにタクシーがさしかかった。2008年にユネスコ世界文化遺産に指定されてた歴史地区だ。

夜で人影がほとんどなく、開いている店はほとんど無い。もっと観光地化している賑やかな場所かと想像していたが、思ったより地に足のついた静かな街のようだ。頭を「不便」という二文字が横切る。

アジア圏に強いAgoda.comで予約してあったツーリストクラスの「Armenian Street Heritage Hotel」 は、世界遺産エリアに建つ比較的新しいホテル。ペナン島の地理に詳しくなかったので、このあたりが中心部かと思って選んだものの、翌日には、世界遺産エリアは古い下町で、地元の人が住む一般的エリアでは無いことが判明する。

なぜにホテルの名前に、東ヨーロッパ・アルメニア共和国の言葉がついているのかと不思議に思ったが、アルメニア人の歴史的人物にちなんだ名前の通りが近いからだという。

この島は、ある種、香港のような歴史をもつところで、何百年もの間、インド・中国・マレー・日本・ヨーロッパなど、様々な国の商人が住む貿易拠点だった。その多様性は、現代にも引き継がれていて、マレーシアの中でも特に、いろんな民族が住んでいる場所。この島に外人が住みやすい背景には、そういう長い歴史があり、いまでは日本や西洋の国々から移住する人が増えているから、自分が外人だという意識はさらに薄れる。ニューヨークに4年住んだことがある自分には、この溶け込める感は、ことのほか嬉しい。

IMG_20140623_230719 (1)チャンギ空港で軽い夕食を食べただけなので、さすがに腹が減った。午前中にホテルをチェックアウトしてから、炎天下のシンガポール植物園を歩きまわって汗だくだったが、街があまりにも静かなのでシャワーも浴びず、レストラン危機を感じて二人してホテルを出た。

まだ夜10時だというのに人影がほとんど無く、静まりかえっている。世界遺産に指定された絡みで、営業時間の規制でもあるのだろうか?遅くまでやっていそうなカフェを調べてから出てきたものの、マレーシアのSIMチップをまだ買っていないのでスマホの地図が使えない。南に向かっていたつもりが、15分ほど歩いてから、真逆に歩いていたことに気付く。方向感覚が抜群だという自負があると、こういうときに深みにはまる。

たどり着いた場所は、インド人街だった。シンガポールでも宿が安かったリトルインディアに泊まったので、インドに縁があるようだ。夜おそくはインド人以外働いてないのか、このあたりは?

大きなオープンレストランなのでファンによる空冷。夜なのでさほど暑くはない。あっという間に出てきた飯は、期待以上に美味かった。妥協して入った店だったが、後日、TripAdvisorの人気店「Restoran Kapitan」だと知る。タンドリチキンのプレートセットと、バターチキンカレー、ナン、ラッシー2種。これで約700円。安い。タンドリチキンは、自分が日本で食べていたパサついたものとは雲泥の差で、もちもちしっとりした食感。いつも私よりも腹が減るのが早い嫁は、幸せそうにラッシーをチューチュー吸っている。

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翌朝。モスクのスピーカーから大音量で聞こえてくる、祈りの声で眼がさめた。

マレーシアは日が昇る時間が遅くて、時間の感覚が狂う。窓を開けると外はまだ暗い。再びベッドに転がり込んで天井を見上げると、謎の矢印が眼に入った。お祈りのための、メッカの方角だろうか。そう、この国は、われわれ日本人にはなじみの無い、イスラム教の国なのだ。

今日からの家探しの条件リストに、「モスクが近くにないこと」を書き足した。

フリーの仕事人ならとっととマレーシアに移住せよ!ペナン島のファーストインプレッション

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*この記事は2014年の情報で、東南アジアは変化が早いですのでご注意ください。すでに長期のビザ無し滞在はできなくなっています。
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仕事と生活の拠点として、マレーシアのペナン島に家を長期契約しました。

予想以上に快適な生活なので、もっと早く移住すりゃよかった!とさえ思っていますが、その背景にある理由の全体像をざっくりご紹介。

わたしは人並み以上に、世界あちこちに住んだり旅したりしてきましたので、その経験から各地と比較した感想です。ただし住み心地なんぞは、人それぞれの境遇や好みによります。わたしの状況は次のようなものであることを念頭にお読みください。

  • 40歳手前の自営業現役。主にデザイン仕事や自前事業の準備中
  • 長いつきあいで気が知れたクライアント様が日本に複数いる
  • 仕事は場所に限定されずネットと電話で完結
  • 夫婦両方とも英語を話せて、海外長期居住経験もあり
  • 事業苦戦中につき、収入はお恥ずかしいレベル
  • 仕事がはかどることが最優先

退職して移り住む日本の老夫婦も多い島ですので、最近はテレビにもよくマレーシアは紹介されますが、中年で仕事バリバリの最中で移住というのは少ないので、ご参考になればと。リタイヤ組だけに遊ばせておくにはもったいない!

プロに重要な「精神状態のメンテ」がしやすい南国

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神経をすり減らす仕事を毎日やっているプロには、メンタルの管理が極めて重要です。南国に住むことにした理由の中で、最も大きなものがこれ。

これは、キマジメに働く日本人には特に肝で、ストレスや働き過ぎによる病気やら体調不良で痛い眼にあった人なら分かっていることではないでしょうか。フリーランスの人で、精神的にぶっ壊れた人が、私のまわりにはうじゃうじゃいます。私も過去にいろいろ苦労しましたので、人一倍この要素に気を遣っています。

南国が良い理屈としては、赤道に近い場所に住んでいる人ほど、自然にハッピーになるのだそうです。これは科学的に実証されていて、眼から強い光が入ってきている間だけ幸福物質の筆頭「セロトニン」が体内で作られるため、日照時間の長さが鍵になります。

暗くなると、そのセロトニンが、夜眠くなる物質「メラトニン」に変化するので、熟睡できるようにもなります。

脳科学的には、日照時間が少ないと幸せ物質が減ってストレスが増え、脳が神経質で過敏な状態になります。このストレスは悪いことばかりではなく、集中力が増したり、細かい部分に眼が行くようになるようなので、北国の先進国の人々が良く働き、すぐれた製品やデザインを多く作っているのも、これが理由ではないかと私は考えています。

反対に、太陽の降り注ぐ南国でリラックスした状態だと、幸せ物質が出まくってハッピーになるものの、集中力は落ち、細かいことがどうでもよくなりストレスは減ります。どっちもどっちということですが、日本人は神経質な人が多いので、南国にたまに来てバケーションした方が良いのではないかと。

わたしの場合は、子供の頃から過剰に神経質で良い仕事はするものの、時により過敏すぎてストレスでダウンするということを何度もやりました。ですので、南国に移り住んですこし角を取るくらいでちょうど良いのではないかという試みです。

いまのところ、意図した通りになって、仕事もはかどっているので、しめしめという感じ。

天気も猛烈に暑くは無く、南国なので冷房設備は万全。我が家は、床がすべてヒンヤリしたタイル張りで、3LDKの全部屋にエアコンと天井ファンが完備。高層コンドの16階で風通しがよく、エアコンはたまにしかオンにしません。敷地内に大きなプールもあり、たまに運動がてら涼みに行っています。

東京だと眠りが浅い同じく繊細なうちの嫁は、日照時間効果のほか、夕方プールで泳いだりしていることもあり、寝付きがかなり良くなってきた様子。

隣のショッピングモールに、最先端設備のスポーツジムがあり、月4,000円程度(日本の半分以下)なので、そのうち契約するかもしれません。ちかく、涼しい時間帯に海辺のジョグも始める予定。

素敵な家が安く簡単に借りられる

IMG_20140702_0926583LDK、バスルーム2つ、80平米、家具付き、高層コンドミニアムの16階(要するにマンション)、改装したて・・・を借りました。

海にほど近いPersiaran Gerney通りの金持ちエリアです。海から少し入ったところにあり、築年数も古いため、掘り出し物の部類ですが、これで月7万円

日本人は綺麗に住んでくれると評判らしく、見学時に顔をあわせただけで貸してくれました。現地人だとちょっとした審査はあるようですが、外人は基本的に対面チェック+パスポートだけというシンプルさ。日本だとフリーランスの仕事人は審査で却下されることも多いので、まさにうってつけです。高い物件は外人でないと借りないという背景もありそうな気がします。物件の数も豊富です。

日本との違いは、契約期間の途中で出ていくと、敷金2ヶ月(家具付きの場合)+光熱費半月分の敷金は戻ってこないということ。1年以下の短期契約だと物件数も少なく、家賃も高くなります。礼金は無く、業者へ払う仲介料はペナン島の場合は家賃の半月分(マレーシアの他の場所では大家だけが1ヶ月負担なので、借り主は不要)。

家だけで生活が成り立つわけではないので、家賃が安くて広いだけなら、日本の田舎という選択肢もありだとは思いますが、生活のしやすさや楽しさを考えると、われわれはペナン島を選びます。

滞在ビザの自由度が高い

いくら住みやすくても、例えばアメリカのようにビザ発給の厳しい国には長期に渡って住むのは難しいのが現実。現地で働かない日本人ならば、マレーシアに90日間のビザ無し滞在が可能です。

しかも、英語で言う「Visa Run」=出たり入ったりして90日を何度も延長していく方法が通用するようです。LCCが近隣諸国まで安いコストで飛んでいますし、どのみち3ヶ月に1回くらいは日本に帰る用事もあるのではないでしょうか。少しコツはいるようなので、自己責任でどうぞ。

完全にこちらに拠点を移さず、年間の半分を日本と行ったり来たりするようなダブル拠点生活ならば余裕のビザ条件です。家賃も安いので、少し安いところを選べば借りっぱなしにすることも可能なレベル。

数年以上住もうとするなら、退職者用のビザ「MM2H」を取得するのがベストです。われわれも、最初はビザ無し滞在で生活して、将来はMM2Hのゲットも想定中。

物価が安く、日本では不可能な金持ち生活が可能

同じ額のお金を稼いでいても、物価の安い国に住んだ方が、使い出があるというもの。

わたしの個人的な観察では、現地人物価は日本の1/3くらいです。ただし、この物価で生活するには現地の低所得者のような家や食生活をする必要があります。日本と違って東南アジアの国は貧富の差が激しいので、生活の内容に大きく左右されます。

日本人だと、現実的には金持ち寄りの快適な生活をしながら仕事をする感じになると思いますので、日本の数割引きという感覚でしょうか。日本と同じ生活費で、金持ち感覚の生活ができると考えると良いと思います。ただ節約しようとするといろいろ制約が出てきます。

ペナン島もクアラルンプールも、車を持っていることを前提とした郊外型のエリアが多いので、車の費用がかかることもあります。わたしたちは、徒歩で生活できる便利なエリアの安め物件を借りました。

日本と比較しての物価は、ものによって高かったり安かったり様々で、遙かに安いものとしては、家、肉、光熱費、外食、公共交通機関。高いものは、車(外車の関税が100%)、アルコール類。日本と同じレベルのものは、カフェ代、食材の大部分、ネット接続など。総じて数割安い感覚です。

マレーシアはイスラム国家で建前上はアルコールNGなので、酒税が極めて高く、酒が日本以上に高価なのが難あり。これは、往々にしてストレスが多くて酒を飲み過ぎる日本のプロ軍団には、好条件とも考えられます。わたしはすでに南国効果で精神状態が良くなってきたような気がしており、酒の量が減る傾向にあります。夕食時には屋台で美味しい絞りたてジュースを飲んでご機嫌。自営業は体が資本ですのでね。

飯が美味くて安い

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「ホーカー」と呼ばれる屋台街が街のあちこちにあり、人気で、すこし小ぶりな料理をひと皿5リンギ(約150円)で数皿と100円程度のドリンクを頼めば、2人で外食完了。

ただし、東京のようにハイレベルなグルメレストランはあまりありませんし、あっても高い。レストランにしても、コストパフォーマンスが高い素朴な料理のところが安いとお考えください。現地の人の多くは、自炊せずに安い外食で済ませる人も多いとか。

現地の飯が美味いかどうかは、考えや味覚が柔軟な人であるかどうか次第。日本食を毎日食べないと死ぬ、という頭が堅い人は厳しいでしょう。そういう方は、ペナン島でもヨーロッパでも無理かと。知り合いの親族で、食べ物が合わなくて数年で帰国した夫婦がいると聞きました。

とはいえ、ペナン島は日本人が5,000人ほど住んでいる島ですので、地元スーパーでも基本的な和食材は揃いますし、そこそこ高いレベルの和食レストランもありますので、困ることはありません。

ネット接続が充実

プリペイドの携帯LTE回線が十分速いですし、ブロードバンド回線もADSLから光ファイバーまで充実(ただし会社によっては安定度にかける模様)。

金額は日本と同じ~少し高い程度の水準。どの選択肢も外人がパスポートだけで契約可能です。日本のクライアントと海を越えて仕事をする場合、ネットの安定性とスピードの両方が重要になりますが、マレーシアは十分クリアしています。

刺激の少ないシンプルな生活で仕事に集中

IMG_20140704_182203南国は刺激が少ないので、都会型のエンタテイメントを求める人は、1ヶ月もいればすぐ飽きること必至です。

ただ、これは日本と同じ生活スタイルを求めた場合であって、私たちの場合は、派手な生活は若い時にさんざんやってしまったこともあり、シンプルな生活になって、むしろほっとしている感じ。

日本にいる間はあまり意識しませんでしたが、東京は豊富な物や、美味しいレストランなど、刺激的な選択肢が多すぎて疲れていたかもしれないなぁとも思います。

いまのところ、安くて楽しい屋台街に夕食を食べに行ったり、仕事終わりにコンドのプールに泳ぎにいったり、それだけで充実した毎日が過ぎていきます。

精神状態が良いからか、あまり刺激的なものが必要なくなる感じとでも言いましょうか。年齢的なことも背景にあるかと思いますが・・・。ネットを見たり、電子書籍や映画を買ったりは世界のどこからでもできますしね。

家電や電子機器の選択肢も日本よりも少なく、Amazonもありませんが、仕事のための基本的機材は、地元で手に入りやすいものから選べば特に問題なさそうです。服も、ユニクロやH&Mがあるので、日本にいるのと大差ありません。これで、無印良品がペナン島に出店したら、わたしたちにはほぼ日本と同じような生活になりそう(クアラルンプールにはあります)。日本からそのまま持ってきたようなダイソーの大きな店舗もあり。

外人フレンドリーな街、ペナン

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なにより、英語がどこに行っても十分通じるのがありがたいところです。不動産の契約書類も全部英語だったので助かりました(写真:大家さんと契約中)。

これは長い間いろんな民族が住んでいることと、イギリス統治時代の影響で英語で教育が行われていた時代が長いことによるものと聞きます。もともと、香港のような貿易の島として栄えた古い歴史があるため、中国系、インド系、マレー系など、さまざまな文化の人々が住んでいてごちゃ混ぜのため、日本人だから目立つという感じがほとんどありません

世界各国の退職組が多数住んでいて、国際的企業の工場も多くあり、外人だらけなので、地元のレストランや店、そして大家さん達も、外人が来る事を前提にしています。

仕事のアイデアも、さまざまな文化が混ざっている多様性のある場所の方が生まれやすい。ビジネス的にも、中国とインドの文化圏なので、将来世界を牛耳ると言われているこの二大文化の近くに身を置くのも良いかと思っています。

くわえて、地味に大切なのが、南の国の人は穏やかで陽気なこと。これも住みやすい理由のひとつではないでしょうか。日本のような先進国の北国は(私たちも含め)神経質な人が多いので、ちと疲れます。

飛行機の路線がそこそこ充実

ペナン島は、タイやシンガポールへの直行便がありますし、日本へは、香港・クアラルンプール・シンガポール・バンコクを経由して往復5万円代からのチケットがあります。直行便が無いことが玄人好みな感じでもありますね。

このあたりの国々は、LCC(低価格の航空会社)が充実していて、特にマレーシアの首都クアラルンプールはエアアジアの本拠地。ペナンから安い国内線でそこまで飛べば、その先は日本を含む各地に格安で飛べます。ペナンからは長距離国際バスでシンガポールやタイへ行けるほか、リゾートのランカウイ島やタイへフェリーも出ています。

裕福な国なので平和で安全、女性も安心

マレーシアは東南アジアの中では収入レベルが非常に高い国で、そのせいか、怪しい連中が街にほとんどいません。良心的な物乞いのおじいちゃんがたまに屋台街にいる程度。危ないめにあったこともゼロです。

男だけなら、バンコクでもバリ島でもセブ島でも問題ありませんが、嫁同伴での移住となると、女性ひとりで夜歩いても大丈夫かというと、自分がいろいろ危ない眼にあっているだけに、あのへんの後進国はやはり厳しい。

マレーシアだと、少なくともクアラルンプールやペナン島のような都会はとても安全です。

総論:非常にバランス感覚が良く、生活しやすい国

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さて、この国は、あらゆる要素が最高点の国ではありません。その点はご注意ください。

しかしながら、マレーシアの中でも、第二の都市であるペナン島は、長期にわたって住むための条件を、かなりの高いバランスでクリアしています。多くの要素がAクラス、ほぼすべての条件で平均点以上をクリアしている場所というのは、世界すべてを見回しても他に例がありません。特に物価と生活水準のバランス感覚において。

それで、自然に、ペナン島に住むことになりました。

例えば、タイやフィリピン、バリ島は物価はマレーシアよりもさらに安いですが、生活水準は遙かに低いので街は汚く、怪しい連中も多いですし、ネットもまだ不安定。仕事がはかどることを優先すると候補から外れます。1ヶ月程度の短期滞在なら我慢できるレベルですが、数年を前提とした生活の安定感重視の現役移住には、バランスが悪いと言わざるを得ません。

マレーシアの首都クアラルンプールも、住む前提で2度訪れましたが、そこは大都会。現地で仕事を見つけるには良さそうですが、元々東京に長く住んでいた私たちには、気分転換にならなさそうでした。生活の便は良さそうですが、海が無いので南国感に欠けるのも残念。

生活水準や文化レベルが高い国というと、マレーシアの金持ち版とも言えるシンガポールがありますが、あそこは東京23区サイズの土地に、金持ちを詰め込んだような街で、財布が瞬時にパンクします。現地で就職して、シンガポール水準の給料をもらわない限りは、長期滞在は難しいでしょう。欧米の先進国も住みやすいですが、ビザや物価の関係で気軽な移住は不可能。

以上、取り急ぎ、ペナン島移住のファーストインプレッションでした。細かいネタは、今後長い滞在の中で書いていくことにしますので、ツイッター @yoshiabe での実況と併せてお楽しみください。

マレーシア移住?!ある週末の妄想がリアルになるまで

有楽町のビックカメラの向かいに、「6th by Oriental」という、気に入っているバー・レストランがある。

南国アジアの高級ホテルや、ニューヨークのしゃれた店のインテリアを思わせる、どことなく異国情緒漂う店で、サービスも日本ぽくない。どこが日本ぽくないかというと指さしにくいのだが、若い時にあちこちの国で飲み歩いた思い出がよみがえる空気が漂っているのだ。

3日前のこと。四谷の自宅から、皇居の桜を眺めて1時間ほど散歩し、この店の奥の方の、静かなラウンジに相方と座って、サングリアをカラフェで頼んだ。客もまばらな土曜日の昼過ぎ。

さて、人生というのは、何かすごいことがいまにも起ころうとしているときには、いっぺんに波が次々と押し寄せるものだ。

例えば、このサングリア1杯から始まる、この週末の数日。

巨大な氷が押し込まれた寸胴のグラスから、紫色のドロッとした濃い口のサングリアをグビグビと飲み干した。アルコールが頭に届く頃には、よくニューヨークやアジアのこういう小しゃれた店で、悪友達と飲んだものだと思い出していた。

最近は大きな旅は年1回になっている。相方は、弁護士事務所勤務のカタギのおねーさんなので、急に出かけたりはできないし、ひとり旅もつまらないからだ。

気分転換に、仕事を抱えてどこか安いアジアの国で、自主缶詰にでもなってこようか。そういうことを、ご機嫌でニコニコしている彼女に話してみると、ひとりで行ってきてもいいわよ、と申す。

しからば、どこに行こうか?と考えてみたが、これといって行きたい国が思いつかない。

そんな贅沢な悩みを考えつつ、歩き疲れて家にもどり、カウチで脱力してテレビをつけたら、『国も人もあたたかい!海外南国暮らしのすすめ ~タイ・フィリピン・マレーシア~』というのが自動録画されていた。ちょうどよいタイミングだ。お茶の間番組・世界ふしぎ発見で、こんな特集をやる時代が来たか。

日本の退職組に人気の移住先が紹介される中、意外にも、マレーシアは中年家族が移住して、子供を現地の良いインターナショナルスクールに行かせている人もいるという。若い人でも金銭的な条件だけ満たせば、居住ビザ取得のハードルも比較的低いのだという。いままで考えたこともなかった国だけど、おもしろそうだ。ほう、現地で子育てという選択肢もありなのか!と、相方と盛り上がった。

観ている最中、電話が鳴った。ロンドンに住んでいる元中国人の実業家ロニーが、嫁(日本人)と子供を連れて、いま東京に来ているという。焼き鳥にいくからつきあえという呼び出し指令。その夜は、彼がロンドンやら中国奥地に買いまくっている不動産の話やらなんやらの話を肴に、英語で酔っ払った。中国人の国境を越えたたくましさには、いつも感心する。日本人が逆立ちしても真似できないたくましさだ。

妄想というのは、いきなり降ってくるものじゃなく、小さなきっかけの積み重ねではないかと思う。

実はサングリアでほろ酔いになる1週間ほど前、NYの美大時代の悪友アメリカ人、ジョナサンからもメールが来ていた。

やつとは、10年前にバンコクで起業しようと意気込んで、オフィスを探し歩いた仲だ。こいつは私同様に頭がおかしい男で、そのせいか付き合いが長い。いまは、サンフランシスコのフロッグデザインという会社で偉い人をやっている。知る人ぞ知る、初期のMacをデザインしていた事務所である。

届いたのは、また一緒にアジアで無茶な旅行をしてえなぁと、そんな文面だった。飛行機代を払ってやるからベガスにいかないか?とか、いかにもやつらしいイカレたオファーで、メールは締めくくられている。

安易にイイネぇ!などと書くと、ほんとに行くことになりかねないので、「おれはついに節約というものに目覚めた。金貯めてるから、いかねー」と、大人な返信をしてやった。

そろそろ家族を持つことを考え始めていて、都内に安いマンションでも買おうとしているのは本当。でもよく考えると、別に東京の都心にこだわる理由もなければ、日本にこだわる理由も無い。東京都内じゃ、いくら金を積んでも小さな箱しか買えない。同じ金額で青梅の山奥に一軒家でも買おうかと思っていたのだが、マレーシアは物価が日本の1/3だという。

そんなことを考えていたら、昨夜のこと。

とどめを刺すように、NY時代の別の悪友・ダリアから、facebookでメッセージが来た。

元イラク人のクレイジーな男で、マンハッタンを飲み歩いた仲だ。やつの一家はホメイニ氏の革命で国を追われる前は、現地で超のつく金持だったらしく、そのせいで太いネジが数本抜けている。

そのダリアから脈絡も無く、いとこを紹介したいという話が来た。女を紹介してやるという話かと一瞬思って、よく読むと、親戚のおっさんのビジネスのサイト3つを、制作&メンテしてくれるウェブ屋を探してるというのだ。何屋なのか、どこの国のビジネスなのかは書いていない。

なんで私に頼むのか皆目見当も付かないが、日本人デザイナーはブランド力があるので、世界でも一目置かれているので、英語ができるだけで、各国のへんなつながりから仕事が来る。

もうこうなってくると、国という枠にこだわっていてもしょうがないという気分になってくる。ここまでに登場した友人達も、元中国人だったり、元イラン人だったり、住む国はおろか国籍もぐちゃぐちゃである。

最近は、別に東京にいる必然性のあるプロジェクトはほとんど無い。一度も会ったことの無いイギリスのプログラマーと、ネットでやりとりしながら進めているウェブ仕事や、前にインドに外注したiPhoneアプリ制作のケースもある。マレーシアなら、インドに打ち合わせにいける距離だなぁと思ってみたり。

日本国内のプロジェクトでも、打ち合わせはごくたまーにしかなくて、ネットと電話と宅急便で仕事をしているので、突然マレーシアに引っ越したとしても、今のお客さん達は、困るということもなかろ。

マレーシアは、アジアの民族の交差点のようなところで、日本人でも居心地はよさげだし、みな英語を話すという。仕事的にも問題無し。LCCの「Air Asia」が、マレーシアのクアラ・ルンプールを拠点にしているので、東京も含め、アジアはどこに飛ぶにも激安だ。

こういう妄想を始めると、ガールフレンドとか嫁が切れそうになるものだが、実は私の相方も、ハワイに住んでいたことがあったり、シンガポールに引っ越そうかと計画していたこともある。私と同様にワクワクしている様子。

来週あたり、小脇に仕事を抱えて、クアラ・ルンプールに飛びます。