乱立する『タイ焼き屋』に想う商売というもの。意外な展開

さいきん街を歩いていると、タイ焼き屋さんが目につきます。

流行っているのに便乗して、「粉モノは儲かる」ということで、脱サラしたおっちゃんが始めるケースが多いのだとか耳にしました。

たしかに、タイ焼き一個の原価は安いし、大それた職人芸も必要ないものと想像。ただ、そういった人が見落としているであろうことは、「お客さんが来るかどうかはまったく別の話」という点。タイ焼きを焼いたら、客がワラワラ集まってくるとわけではありませんのでね。東京駅の中にでもあれば話は別ですが、そのへんの路地裏で成り立つ商売ではありません。

日本という流行すたりの激しい文化の特性上、いつまでブームが続くかもわかりません。流行に乗っかるのはこの国では危険です、よほどレベルの高い専門家でも無い限りは。わたしの経験上、店舗販売というのも、成功が場所に大きく左右されるので、素人にとってはギャンブルのようなものでもあります。

客の気配が無いタイ焼き屋を横目に、起業という危ない冒険について、いつも考えはじめます。考えるだけならまだしも、隣を歩く相方にいつも同じ話をはじめるので、いわゆる迷惑な、タイ焼き屋評論家。

 

・・・と、ここまで書いて、パソコンを閉じました。

 

7年ぶりに出かけた人間ドックで、左目を精密検査してこいというお達しが出たもので、おでかけの時間です。四ッ谷駅に向かって大通りを歩き、路地を入ると、めあての医者の三軒手前に、タイ焼き屋出現。おお!

さっそく、このブログ用に写真3枚ゲットです。

あれ?

なにやら、白いユニフォームの職人さんが3人もいて、なんだか渋い伝統的雰囲気の店構え(写真)です。ほんとはもっと安っぽい店が理想的だったんですが。

眼科の受付のおばさんに聞いてみると、

「あら、四ッ谷界隈じゃ有名で、冬は長い行列ができてますよ。買ってその場で食べていくサラリーマンのおじさんもよくいらっしゃるくらいで。」

実は、わたくし、眼科に最後にお世話になった時期も思い出せませんが、最後にタイ焼きをかじったのも、いつだかも記憶が定かでない。辛口タイ焼き評論家としては、これは困ったもんです。

お医者さんの異常なし!という言葉を胸に、帰り際、相方の分と2つ買ってみました。1つ140円。安っ!

帰宅して調べたら、JR四ッ谷駅近くの静かな路地にある「たいやきわかば」は、食べログでレビュー400件の有名店!社用で、わざわざ遠くから買いに来る人までいるらしい。

相方の帰宅を待てずに、すぐ食っちゃいました。パリッと焼き上がった皮と、文字通り尾っぽまで詰まった、絶妙な甘さのスムースあんこ。たしかに美味い。

ここで、このブログは、書き始めには想定していなかった、甘めの結論に到達します。

結局、どのビジネスも、レベルはピンキリ!

あとですね、人生、次にどんな意外な展開が待っているか予測不能!それがおもしろいっす。

・・・以上、新宿区舟町から、新米タイ焼き評論家への一歩を踏み出した阿部がお届けしました。

投稿者:

阿部譲之

主にデザイナー業。マレーシア・ペナン島在住。中学校の美術教科書に作品掲載。グッドデザイン賞受賞。十四代目伝統木工の家に生まれ日米修行→NYの美大で工業デザイン専攻しながら石岡瑛子氏のお手伝い→フリーランス七転八倒→ちょっと新生銀行勤務→ちょっと花屋→ 阿部書店(株)を設立して主にデザイン業→ 双子が産まれる → ペナン島にお引っ越し。その昔、日本のデザイン誌を中心に寄稿。ツイッター @yoshiabe