すごいクリエーターが持つ『直感』の正体。プロが直感で決断を下せる理由

デザインの巨匠が口を揃えて、デザイナーの卵たちに言う定番の言葉があります。

「直感を信じなさい。」

私も、美大時代にさんざん聞かされてからというもの、この言葉を信じて仕事をしてきました。ほんとに鵜呑みにして大丈夫なのかなぁ、という一抹の不安を感じつつ。

ところが、あるお堅い本によれば、直感というのは、自分の過去の経験すべてから脳が瞬間的に感じ取るものらしい。第六感的な神がかったものかというと、そうでもない。

人間がどうやって決断するのかを科学的に分析した「Sources of Power: How People Make Decisions」という本に書かれている、この説が正しいとすると、早い話がこういうことになる。

直感を武器に仕事できるのは、連戦錬磨のベテランのデザイナーだけ。

「直感を信じろ」というセリフを私に話してくれたのが、ほぼ全員、超一流の人気デザイナーだったことから考えると、これは正論です。

よく観察してみると、直感を!・・・と言っているスゴ腕のおっさんおばさん達は、毎日地道に勉強を続けているし、新しい仕事となれば、大量のリサーチをする。

あの人たちは「直感を解読する技術」も身につけているに違いないと思っています。直感というのは、形がなくて雲のようにモヤモヤしている「気分」のようなもの。頭の中にどんな形の雲が現れたら地震が来るとか、雨が降るとか、場数を踏んでいないと判断しようがない。作っていて、どんな気持ちになるデザインがうまくいくかは、失敗と成功を様々に経験したからこそ選べることなのではないかと。一流のプロ達でさえ、陰では失敗作を連発しているのを、私が見てきたから、そう思うわけですが。

さて、私が今、若い人にアドバイスをするならば、こうなります。

「膨大な量の経験を積み重ねろ。そうすれば『直感』を信じられるようになる。」