5万5千円で世界遺産を借りる!?ペナンの街を散歩中に見つけた伝統長屋物件

2週間に一度の頻度で、猛烈に食べに行きたい発作に見舞われる、行きつけのインド料理屋があります。この日は良い天気だったもので、我が家から歩いて1時間の道のりを、運動もかねてランチに出かけました。

ペナン島は世界遺産の伝統的な長屋の街並が有名ですが、島中がそういう雰囲気なわけではありません。一部のエリアだけが保存区域に指定されています。

上陸して家探しをしていた当初は、掘り出し物の長屋物件に住みたいな〜などという妄想もあったのですが、少し街歩きをしたら無理だとわかりました。良かれ悪かれ昔のままで、どこも激しくボロい。世界遺産エリア内の状態が良い物件は、カフェやらおしゃれホテルにするためにどんどん買われていて、ちょっとしたボロタウンハウスでも1億円の値段がつくとか。軽くバブッているようです。おそるべき世界遺産の魔力。

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さて、腹も鳴り始め、もう10分も歩けばインド料理にありつけるというところで、嫁が立ち止まりました。

「借り手募集、1,600リンギ」と英語で書かれた張り紙を発見したらしい。この長屋(タウンハウス)が5万5千円で貸しに出ているようです。

結婚して良かったことのひとつは、目玉が倍の4つになるということだと思います。本気で。

大手の観光ホテル「Cititel」のすぐ南側で、かなり古そうですが、1,600リンギはかなり安い。なにか致命的な問題でもある物件に違いない!・・・とちょっとチェックしてみることに。

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玄関から中が覗けたので、ちょっと拝見。

そんなに汚くはないですね。正面もきちんとペンキが塗り替えられているので、比較的手入れはしてある方です。京都の長屋のように、間口は狭いですが、奥行きはけっこう長い。2階も同じ面積がありますし、この広さならオフィス使いも格好いいのではなかろうかと。裏庭的なものもある雰囲気です。

両隣はかなり地元色が強いご家庭の様子。空き物件の前で、隣のおばちゃんが車を洗っていたり、前庭に洗濯物が干しまくってあったり。

こういう古い物件の問題は、台所やトイレが昔のままなことです。水回りは、床を掘り返したり大がかりな工事が必要になるので、比較的安く済む床や壁紙だけの改装で済ませるケースが多いため。これは、日本も含めて全世界共通です。ニューヨークやヨーロッパも築年数100年単位の古い建物が多いですが、配管だけはどうしても変えられないようで、詰まったり溢れたり、大惨事が頻発します。

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われわれが住処として借りるのも面白いかなと思いましたが、いまのコンドの契約が来年の6月までありますしね・・・。マレーシアでは、賃貸契約に礼金は無いのですが、途中で退去すると敷金を大家に全部持って行かれるという仕組みになっています。契約満了が標準。

シンガポールも、こういう中華スタイルの長屋の街並が残っていますが、あちらさんは、しっかり手入れがされていて、金持ちが住んでいる雰囲気。ペナンも10年もしたら、ああいう雰囲気になるのかもしれません。

観光地のまっただ中なので、カフェでもやろうかとか、airbnbで貸そうか・・・などなど妄想は膨らみますが。今回は妄想だけ楽しんで、あきらめました。

なにせ、腹が減ってますしね。

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観光客&地元民に人気のRestoran Kapitan。ペナンに着いた夜に偶然入って以来、わたしたちの定番メニューになっているのは、こちら。

しっとりした歯触りのタンドリチキンのセット、それから、バターチキンカレー。飲み物は、マンゴーラッシーと、スパイシーなアイス・マサラティー(チャイにガランマサラを入れたものですかね)。

リトルインディアに来ると、なにやら外国に来ているのだなぁという実感が、いつも沸いてきます。

投稿者:

阿部譲之

主にデザイナー業。マレーシア・ペナン島在住。中学校の美術教科書に作品掲載。グッドデザイン賞受賞。十四代目伝統木工の家に生まれ日米修行→NYの美大で工業デザイン専攻しながら石岡瑛子氏のお手伝い→フリーランス七転八倒→ちょっと新生銀行勤務→ちょっと花屋→ 阿部書店(株)を設立して主にデザイン業→ 双子が産まれる → ペナン島にお引っ越し。その昔、日本のデザイン誌を中心に寄稿。ツイッター @yoshiabe