バリ島・ウブドゥは、田舎の山の中にあるが、外国人が波のように押し寄せる観光地。
でも、店が建ち並ぶ大通りをちょっと離れると、そこには昔ながらの田園風景が広がる。赤道直下の国であるがゆえに、1年に3回、米が収穫できるという豊かな大地だ。
人混みと観光名所が嫌いな店長と私は、太陽が照るつける田んぼの道を、特にあてもなく、散歩にでかけた。
道端のヤシの木の幹に、何か書かれた札がぶらがっていて、眼と足をとまった。
「FOR RENT」
南の島に、自分専用のヤシの木を1本借りられるとは、なんともロマンチックではないか。見上げると、実のつきもなかなかご立派である。
下の方の細かい字はあえて読まなかった。だから、本当は何の看板だったのかは定かではないのだが・・・。
斬新なアイデアやデザインの多くは、奇抜な「組み合わせ」によるもの。
紙切れ一枚、貼る場所がちょっといつもと違うだけで、ストーリーが生まれるものなのである。