ヤシの木、貸します。

バリ島・ウブドゥは、田舎の山の中にあるが、外国人が波のように押し寄せる観光地。

でも、店が建ち並ぶ大通りをちょっと離れると、そこには昔ながらの田園風景が広がる。赤道直下の国であるがゆえに、1年に3回、米が収穫できるという豊かな大地だ。

人混みと観光名所が嫌いな店長と私は、太陽が照るつける田んぼの道を、特にあてもなく、散歩にでかけた。

道端のヤシの木の幹に、何か書かれた札がぶらがっていて、眼と足をとまった。

「FOR RENT」

南の島に、自分専用のヤシの木を1本借りられるとは、なんともロマンチックではないか。見上げると、実のつきもなかなかご立派である。

下の方の細かい字はあえて読まなかった。だから、本当は何の看板だったのかは定かではないのだが・・・。

斬新なアイデアやデザインの多くは、奇抜な「組み合わせ」によるもの。

紙切れ一枚、貼る場所がちょっといつもと違うだけで、ストーリーが生まれるものなのである。

投稿者:

阿部譲之

主にデザイナー業。マレーシア・ペナン島在住。中学校の美術教科書に作品掲載。グッドデザイン賞受賞。十四代目伝統木工の家に生まれ日米修行→NYの美大で工業デザイン専攻しながら石岡瑛子氏のお手伝い→フリーランス七転八倒→ちょっと新生銀行勤務→ちょっと花屋→ 阿部書店(株)を設立して主にデザイン業→ 双子が産まれる → ペナン島にお引っ越し。その昔、日本のデザイン誌を中心に寄稿。ツイッター @yoshiabe